自分でも気付いているのに!
彼女はいくら気丈に振る舞い自分にも平気だよ! と言い聞かせているのだけれど ポッカリと空いた心の空虚さ、それもいきなり異次元の世界へと来てしまったような 感覚である。
あまりにも厳しい男性の勝手な仕打ちにそのひどさ故にその男性との幸福な夢と別 れには当初さほど辛さを感じなかった。
ただ時間が過ぎていく、そこにはその男性への未練は何にもなかった。あるのは自分
の愚かさと人間不信と不安定な精神状態である。
まだ、もし二十代ならば、まだ良い恋を見つけるわ! なんて言葉で気持ちを持ち直
す事も容易であろう!しかし女性というものは恋を結ばせて結果を出したい年齢と云
うのがある。
確かに結婚するのは早い人もるし遅い人もいる。でも彼女はその適正年齢にこだわり もあった。それは20代後半で結婚して子供を授かり40代になったら子供が女の子 なら友達のような関係の親子になりたいという夢をも持っていた。
でもの出来事は彼女の表面上はともかく、他者への心理、特に適齢期にある男性に対 しては180度の転換を強いた。
今までが純粋過ぎたのである。まさか結婚まで約束していた男性が他の女性を選ん
だのである。
男の本音を見せつけられ感がある。
「やはり、男にとってはより自分に相応しい女性を選択するのが本質であると。」 彼女は自分に近い適齢期の男性のアプローチを素直に受け付ける事が出来ない心理 状態を心の奥に形成してしまった。
それも自分の本心とは裏腹の感情であり、自分もそれに気付いている。幸福を夢見 て頂点にいた処から一気に突き落とされた心の傷はトラウマとして彼女に差し延べ られるこれからの人生の幸福への切符さえも見えなくさせていた。